米国の液晶テレビ関税について

以前、トランプ政府が2018年貿易法301条を基盤に中国産製品に対する25%の高率関税を賦課したことがある。これをバイデン政権が一部品目に対して一時的に免除措置を取っていたのですが、その一つが中国製LCDテレビ。来月中に満了するが、もしこの品目に対する関税措置がなければ、このまま高率関税が賦課されることになる。こうなれば、中国製LCDテレビは関税が大幅に上がることになり、OLEDテレビが競争力をさらに備える可能性が高くなり、LCDパネル企業のパネル価格上昇にも制限が生じざるを得ない。記事によるとシナリオが2種類あるというが、中国産テレビ関税が25%に上がるシナリオと現行テレビ関税が維持され、中国産ディスプレイを搭載したテレビに限って15%の追加関税を賦課するシナリオがあるという。前者であれ後者であれOLEDテレビが北米市場で競争力がさらに強くなるのは事実であり、後者の形でシナリオが流れることになればLCDパネル価格上昇に限界が生じ、中国ディスプレイ企業の現金調達がかなり難しくなるだろう。こうすれば中国がQLED(Micro LED)に直接移れば良いと主張する人がいるが、これ量産商用化されるにはいくら早くても10年は残った。だからといって現時点でminiLEDがOLEDより優位かと言えば、それでもない。大型パネルではローカルディミングを増やすのが比較的簡単だが、中小型パネルではあまりにも難しいため、miniLEDが少なくとも中小型パネル市場でOLEDに押されるしかない状況だ。(アップルが全部門IT機器でOLEDを採用し適用しようとするのがminiLEDのブルーミング現象が思ったよりひどいためだと見る。もし関税が適用されれば、OLED CAPAを早く増やさなければならない中国ディスプレイ企業に支障が生じることは明らかだ。(現金がなくて投資できないからだ。)中国と韓国の根本的な違いは、中国は直ちに無理に建設したLCD工程を放棄できないうえ、OLED工場を新設しなければならないということであり、韓国は既存LCDラインをOLEDに転換することで費用負担が相対的に少なく量産時点が相対的に早いということにある。中国の第8世代OLED投資も12.7兆規模にもなるが、技術難易度の上昇でますますアップルの受注も取りにくくなり、中国内需景気が鈍化したことにより以前のようにチキンゲームの可能性は期待しにくくなっている。(チキンゲームも中国内需が支えなければならないものだ。)建ててみても予想より工場稼動率が多く出ない可能性が高いということだ。※ ちなみに、LigidOLED需要も中国IT機器のOLED適用比率がそれほど高くなく、稼働率が低い。 すなわち、中国ディスプレイ企業は事実上補助金だけで持ちこたえていると理解すれば良い。LCDやLigidOLEDの過剰投資結果が、第8世代OLED投資にも悪影響を及ぼしている。 市場需要を超過するほど工場を建ててしまったせいで、減価償却費だけ減価償却費どおりに出てお金は稼げず財務構造が悪化している。このため、R&Dも途絶え、三星ディスプレーやLGディスプレーのOLED量産技術に追いつけずにいるのだ。(中国のIT企業もプレミアム製品群は韓国OLEDを使っているとし、互いに広報するほどうまく作れない。)BOEやCSOTは、中国内需が鈍化したり補助金が減るいかなる状況に直面しても打撃を受ける状況だ。BOEの第8世代IT用OLED投資は、中国内需鈍化によって思ったより遅れる可能性が高い。 こうなれば、8.6世代でもOLED投資が押されることになるので、ますますOLED市場で競争力を失うことになる。(どうせ建てても顧客会社がないから稼働率が出ないから赤字だけすごいこと。 中国政府でもこの程度の赤字を埋めるのは容易ではないだろう。)全世界の主要IT企業がOLEDへの転換を考慮したり進行中であることを勘案すれば、長期的に中国ディスプレイ企業は競争力を失うことになるだろう。韓国ディスプレイ企業は中小型から着実に推し進め、大型OLEDまで競争力を確保し、OLEDで稼いだお金でLEDに対する積極的な投資を続け、中国との格差をさらに広げれば良い。ハイディスと韓国人材流出でここまで来ることになったが、他人の技術をコピーできなければ成長が難しいのが中国ディスプレイ企業の現実だ。結論的に韓国が確実にOLEDを積極的に後押しする必要があると思う。 OLEDへの転換が早くなるほど、中国企業は資金が乾くことになり、投資そのものが難しくなるからだ。現在はサムスン電子、LG電子などの国内テレビおよびITセット企業とサムスンディスプレー、LGディスプレーがどのようにするかにかかっていると見る。 セット企業からOLEDを積極的に推し進め、中国を必ず圧迫しなければならない。